第二弾はボイジャーティーチャーのひありさんに執筆いただきました。ひあり先生はタロットも精通している先生ですので、通常のタロットとボイジャータロット特徴をうまーくまとめていただきました!
GO VOYAGER!!
こんにちは。ボイジャータロット国際認定ティーチャーのひあり奈央です。
今回はボイジャータロットとその他のタロットの違いを一緒に見ていきましょう。
ボイジャー以外のタロットに目を向けることは、ボイジャータロットの特徴や魅力を再発見することに繋がります。その結果、より深く、的確なリーディングができるようになりますのでぜひこの機会に一緒に探索していきましょう。

まずは世界的にメジャーなタロットを3つご紹介します。
マルセイユタロット
タロットの起源に関しては様々な説がありますが、マルセイユタロットは数あるタロットデッキの中でも古いタロットです。ヴィスコンティ版タロットから派生したタロットと言われ、作者が特定されていないカードデッキです。1650年頃にフランスのマルセイユで大量に刷られたタロットと言われ、占いリーディングとしてだけなく、意識探索などの目的でも使いやすいタロット。同じマルセイユタロットでもグリモー版、ニコラ・コンヴェル版、カモワンタロットなど様々なタイプが売られていおり、微妙に色彩などが異なります。
特徴
・作者がわからない。
・小アルカナには絵柄が付いていない。
・同じマルセイユ版タロットでも出版社によって少しずつ絵柄や色合いが違う。
ライダーウェイトタロット
アーサー・E・ウェイト(1857年NY、ブルックリン生まれ、後にイギリスへ移住)が1909年にウイリアムライダー&サン社から出版したカードがこちらのタロットです。
ウェイトはイギリスの魔術結社であるゴールデン・ドーンの会員で、このタロットカードはその教義に基づいています。絵柄は同じくゴールデン・ドーンの会員であるパメラ・コールマン・スミスという女性に描かせました。小アルカナにも絵柄がつけられたということで、当時としては画期的なタロットでした。今でもタロット初心者がオカルト体系なども含めて学びやすいタロットという理由からユーザーが多いことで知られています。
特徴
・ゴールデン・ドーンの教義に基づいて作られている。
・小アルカナにも絵柄が付いている。
・それまでの大アルカナの順番を改め、「力」のカードと「正義」のカードを入れ替えた。
トートタロット
実践魔術師の天才と言われるアレイスター・クロウリー(1875年、イギリス生まれ)が製作したタロットで、カードとしてのリリースはクローリーが亡くなってからだいぶ経った1969年でした。クローリーもゴールデンドーンの会員で、その教義が織り込まれていますが、クロウリー独自の世界観が溢れるカードです。
特徴
・小アルカナにも一枚一枚、タイトルが付いている。
・大アルカナの名前を一部、本来のタロットの名前から変えている。
例:節制(Temperance)→技(Art)
・トートタロットはリーディングの際、基本的に逆位置を取らない場合が多い。
以上、3つのポピュラーなタロットの歴史と特徴をあげてみました。
では、私たちが愛するボイジャータロットはどうでしょうか?

ボイジャータロット
1985年に出版された、アメリカ人のジェームス・ワンレス氏によるタロットカードです。製作には4年の歳月がかけられました。元政治社会学の教授でもあり、世界中を旅した後にボイジャータロットを作りました。美しいコラージュで作られたのが最大の特徴ともいえるでしょう。世界を旅してからカードを作ったために、世界中の文化のモチーフが絵柄に盛り込まれていることも大きな特徴です。ライダー版タロットなどもエジプトのスフィンクスなど、ヨーロッパ以外のモチーフを取り入れていますが、ボイジャーは「演じる男性」の歌舞伎役者や剣道、ワンドの7「勇気」に描かれたバリ島のバロン、「吊るされた男」に描かれているメキシコの黒曜石など、世界中を網羅しているかのように、多彩な文化が取り入れられています。タロット研究家の伊泉龍一さんは、ボイジャータロットについて、水瓶座時代のワールドタロットの最高傑作と、その著作で書かれています。
さて、ではカードの製作者やその歴史はともかく、ボイジャータロットと
そのほかのタロットカードの同じ点、違う点を見ていきましょう。
◉ 大アルカナは22枚。小アルカナ56枚。はこの構成は従来のカードと同じです。
◉ タロットの小アルカナには、四元素(火、水、風、土)に関連する4つのスートがあり、それぞれのスートに属するカードが14枚ずつあります。
一つのスートは、数字の1から10までの数札と4人の人物のカードで構成されています。この合計56枚のカードを小アルカナと呼びます。この骨組みの構成はボイジャータロットも従来のカードも同じです。
ただし、4つのスートの呼び方が違います。
従来のタロット:ワンド(火)、カップ(水)、ソード(風)、ペンタクルス(土)の4つ
ボイジャータロット:クリスタル(風)、カップ(水)、ワールド(土)、ワンド(火)の4つ。
ボイジャーでは、風を象徴する従来のソードをクリスタル、土の元素を象徴するカードであるペンタクルスをワールドと名前を変えています。
◉ トートタロットと同じく、小アルカナ一枚一枚に、タイトルが付いています。
従来のタロット(マルセイユ版、ライダー版)には小アルカナにはタイトルと呼べる表題のようなものは付いていません。ただ単に、カップのエース、やワンドの6、などと表記されています。しかしボイジャータロットはトートタロットと同じく、ボイジャータロット独自のタイトルが一枚一枚に付けられています。

例:クリスタルのエースのカードで、上部に「ブリリアンス」(輝き)とタイトルが表記されています。従来のタロットだと単にソードのエースと呼ばれます。
◉ 人物カード4枚について
従来のタロット:コートカード(宮廷カード)
ボイジャータロット:ファミリーカード(家族カード)
従来のタロットカードの4枚の人物カードは、キング(王)、クイーン(女王)、ナイト(騎士)、ペイジ(小姓)の4人です。伝統的な王室の権力のあり方に沿ってカードが作られているのが特徴で、宮廷カードと呼ばれる所以ですね。
それに対して、新しい、現代的なタロットであるボイジャータロットは、この4人の人物を、「家族」カードと呼び、上から順に賢者、女性、男性、子供としています。
権力や縦社会とは反対の世界観で、四人の人物を、家族として考え、置き換えました。
例:ボイジャータロットのワンドの男性(従来のカードでは、ワンドのナイトと呼ばれるカード)。家族カードの上部にも「アクター」とタイトルがついています。

◉ リーディングの際に、逆位置を取らない。
占い手にもよりますが、一般的にマルセイユ版やライダー版の使い手は逆位置を読むことが多いようです。ボイジャーは逆位置を取りません。タロットを引いた時に、逆位置で出ても正位置の意味と同じになります。
◉ ボイジャータロットは、「占い」ではなく、「未来創造」のためのカード
最後に理念的な違いを説明しましょう。ジェームス先生のセミナーに出たことがある人はおそらく聞いたことがあると思いますが、ジェームス先生はボイジャータロットを「占いではなく、未来を創造するためのカード」と位置付けています。
何でもアメリカでは、日本では今となっては割と一般的な、「占い師」の地位がとても低いのだとか。話している時に、私が「フォーチュンテリング」という単語を使うと言葉を正されます。もちろん、ボイジャータロットを、未来を予知する、未来の情報を収集するなどのために使用することはできます。そこは読み手の自由意志に任されます。
未来のことはやはり知りたい気持ちがありますからね。
しかしボイジャータロットの基本的な役割と位置付けは、望む未来を作っていくためのカードなのです。
以上、世界的にポピュラーで寿命が長めのタロットデッキ3種類とボイジャータロットの違いを見てきましたが、いかがでしたか?タロットの始まりは、貴族のカードゲームだったと言われています。それが後になって占いの目的で使われ、今日では自己啓発や未来創造のためにも使用されています。様々なタロットの違いを知ることで、ボイジャータロットの個性と輝きが、より一層理解できるはずです。これからも楽しんでボイジャータロットを引いていきましょう。新しい自分と新しい世界に向かうために。

20200929
ボイジャータロット国際認定ティーチャー ひあり奈央